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【新・関西笑談】ワイナリーのジャンヌ・ダルク(3)(産経新聞)

 □ワイン醸造士 渡辺佳津子さん

 ■フランスでは分子レベルの授業もそこが日本と違いました。

 −−向こうでの授業ってどんなことをやるんですか

 渡辺 全部フランス語なんですけど(笑い)、先生がパワーポイントを使い、資料のコピーを配ってくれます。教科書がないんです。その資料と講義内容で勉強していくんです。

 −−まずは基礎知識ですね

 渡辺 ええ、醸造に関する知識です。アカデミックなところまで教えていただける。ただ単に「糖分がアルコールに変わるんだよ」というのではなくて、分子レベルで教えてくれます。化学式を覚えたりもするんですが、そこが日本とは違っていました。

 −−実技もあるんですか

 渡辺 あります。実験や分析方法の実習なんかがあります。1年でワイン作りを学ぶ実習を、2年では論文作成をやります。

 −−論文ですか、ちなみにどういうテーマだったんですか

 渡辺 スタンダードな酵母と、ワインメーカーの最新の酵母で、それぞれワインを作り、どういう違いで成分が出てくるか比較分析する、といったことです。もう、すごく大変でした。

 −−日本人学生は渡辺さんだけですか

 渡辺 私の学年は私だけです。1年上に1人いらっしゃいました。

 −−慣れないフランスでの生活はいかがでした。苦労はされませんでしたか

 渡辺 しました、しました。クラス40人中35人がフランス人で、残り5人がスペイン、イタリア、中東などの外国人留学生。アジアは私だけ。アジアは少し他の国とは文化が異なるので、カルチャーショックを何度も受けました。

 −−例えば

 渡辺 スキンシップの多い国なので、ほっぺにあいさつのとき、チューをしなければならないんです。右、左に。男女関係なく、クラス全員に会うたびにしなくちゃいけない。実に面倒くさい(笑い)。

 −−つらくて日本に帰ろうと思うことはなかったですか

 渡辺 それはなかったですけど、私は語学があまりにできなくて、1年留年したんです。本当は2年で修了するカリキュラムなんですが、1年目であまりにフランス語ができなくて、先生に「もう1回やりなさい」と言われまして。たぶん授業の3分の1くらいしか理解できていなくて、本当にどん底でした。

 −−そんなときはワインをしこたま飲んで気をまぎらわすんですか

 渡辺 やけ酒はしませんが、ワインはよく飲みましたね。時間があればワイナリーを訪問し、見学させてもらいました。気になるワインは購入して、週末になると日本人留学生を招いて自宅で“試飲会”を開きました。あくまで勉強のためですよ(笑い)。買ったワインがどんどんたまるので、地下カーブ付きのアパートに引っ越しました。はずかしながら、このとき体重が“人生最高”を記録してしまったんです。

 −−そのときの写真ありますか

 渡辺 見せません(笑い)。(聞き手 安東義隆)

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